ワンスアラウンドの『現場マガジン』 2022年6月1日号

皆様、こんにちは。
ワンスアラウンドで新卒採用を担当している岡田聖子です。
今週は、『人を育てる』シリーズの第24弾。
今回はついこの間まで、自らが指導される側だった入社2年目の育成係であるシスター社員の様子を通じて、 「指導の仕方」がどう先輩達から伝授されているのかをお伝えしたいと思います。

人を育てる法則 【vol.024】


シスターから受け継がれる育成DNA
新入社員が現場に配属されてから約1か月半が経過しました。
久しぶりに制限のないゴールデンウイーク(以下GW)で、 新入社員は初めての山を乗り越えた達成感を感じたのではないでしょうか。
それはGWを迎えるまでに、ここまでのレベルまで育成していこう!と準備を進めてきた先輩社員達も同じだと思います。

若手のキャリアにおける新卒3年以内の離職を「七五三」 と例えることがありますが、 これは中学卒の70%、高校卒の50%、大学卒の30%が入社3年で離職することからそう言われています。
そのうち半年以内の「超早期離職」が、高卒で11.8%、大卒で7.5%と、 まだ仮配属期間の企業も多い時期に起こっています。
労働政策研究・研修機構が 2017 年に出した「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成」報告書の中では、 「『何をするべきなのか明確な指示を与え、放置しない』 『簡単な業務から難しい業務へと段階的に仕事をまかせていく』といった、 就業経験の乏しい若者に対して基本的な事柄を確実に行うことが、離職を防ぐ上で有効」 と指摘されていますが、弊社でも配属初期のケアにより、その後の離職状況が違うという体感がある為、 現場の店長や育成係のシスターによる配属後数か月のフォローはとても大事になっています。



<3月:シスターの事前勉強会と育成ストーリー作成>
新入社員を迎え入れるシスターの育成とケアは重要なので、入社前から準備を進めていますが、 今年は特にシスターが若いにも関わらず、全体的に育成レベルが上がってきたという感触がありました。

今年の弊社のシスターは、すべて入社2〜4年目の若手ばかり。
新入社員が入社する1か月前にシスター研修を行ったのですが、そのまとまりが素晴らしかったのです。 全員が新入社員の目線をしっかりと記憶しており、3か月間の育成ストーリーの作成と、 GWまでに何を教えるべきか?をブラッシュアップしたのですが、 配属後にまず何をすべきかの取捨選択がとてもはっきりしていました。

この若きシスターたちが、新入社員側の目線から見た、シスター制度の良い点が3つありました。

@目標をシスターと共有することで、達成の為の具体的な行動目標と、 やりがいに繋がる数値目標が明確で、達成の為の具体的な手段をシスターが教えてくれた。
A3か月の育成ストーリーを全員で共有し、出来た項目をチェックして可視化し、 出来ていないことは他の先輩も教えてくれた。
B指導の後に必ず実践させてくれたので、身につけられた。

また、シスター会で育成側の視点を学び、寄り添うことでモチベーションUPに繋がることを知り、 「先輩シスターがどんな熱量で向き合ってくれていたか分かった」 「私が先輩シスターから伸び伸び学び、身につけられたように、新入社員にも同じように教えていきたい」 「シスターの私自身も“教え方”を新入社員から“学ばせていただく”気持ちで取り組む」 と改めて先輩シスターに対する感謝の念や育成への意欲が湧いたようで、 いよいよ新入社員を迎える4月になりました。


<4〜5月:2段階方式でのフィードバック>
弊社の新入社員は、配属から1か月は毎日1日の振り返りを行い、 教育係のシスターからフィードバックしてもらうようにしています。
その時に使用する「振り返りシート」は1週間ごとにまとめて本社に送ることになっており、 弊社役員の佐藤と採用担当の私の2名で、今度はシスターに対するフィードバックを毎週行います。
この店舗と本社の2段階方式により、本社でも新入社員の様子や、 それを見守るシスター自身の成長、店長の関わり方などを知ることが出来、 バックアップが必要な店舗の把握や新入社員の状況把握が出来るようになっています。

今年の「振り返りシート」の中で、活用の仕方が特に良いと思ったのは2店舗。 どちらの店も新入社員とシスターである先輩が高卒同士で、入社直後の気持ちが良くわかるので、 コミュニケーションが取りやすいこともあるのかもしれません。


<良いと思った振り返りシート活用のポイント>
新入社員がわかりやすい具体的な数値目標があり、結果数値も記載がある。
 目標:商品Aをお客様に10回ご案内、開店前清掃25分以内。
 結果:昼休憩までに7回、2回目の休憩までに4回の計11回、
    清掃32分

◆振り返りシートは「報告書」の記入練習でもあることを理解し、 相手が読みやすい配慮がある。
 誤字指摘例 誤:お客様に〇〇を進めた→勧めた

褒めポイント、もっとこうしたらというMOREポイント、 それに対する先輩としてのアドバイスのバランスが良い。
@新人:アプリ入会11件出来ました!
シスター:素晴らしい!これは〇さんの強みですね。 どういうアプローチで登録いただけたのか、リストアップ出来ると更に◎です!
A新人:強化商品Aを2回販売することが出来た。
シスター:素晴らしい!購入に繋がった2回の接客を振り返り、 感触の良かったフレーズを次回活用してみよう!
B新人:お客様に「楽しい買い物が出来た」と誉めていただき、お役に立つことが出来た。
シスター:企業理念である「お客様のお役に立つ」ことが出来たのは素晴らしい! 社会人としての覚悟が見受けられます!
今この時期に必要なレベルを伝えている
(出来なくて落ち込んでいたらフォローを入れる。)
新人:レジ業務でわからないことがありヘルプを呼んでしまいました。 一人で解決できなかったことが悔しいので早く完璧に独り立ちしたいです。
シスター:ヘルプを「呼んでしまった」という考え方でなくて大丈夫。 むしろわからないことはどんどん聞いてください。 他の人を頼って助け合うことがチームなので、一人で抱え込まないように!
とても良く指導が出来ているね!とシスターに伝えたところ、 自分が新入社員として記入していた1年前の振り返りシートを見ながら、 また、当時の先輩シスターの言葉を思い出しながらフィードバックしているとのことでした。
先にあげた、シスター制度の良い所の3つのポイントを愚直に日々の活動に落とし込み、指導してくれていると感じます。

配属1か月後、新入社員全員に電話して様子を聞いたのですが、ほとんどが「元気にやっている」「困っていることはない」「何かあったら先輩に相談できている」と答えてくれたので安心しました。

手間暇かけた育成は店のDNAとして引き継がれる
シスターだけ頑張っても上手くいかないのが新入社員の育成。
昨年も今年も、店長が全体を把握し、店舗全体で新入社員を育成している店舗は、上手くいっているように感じます。
(シスターを褒めるメールをしたところ、「シスター〇〇は本当に責任感をもって新人育成を頑張っています!」と 連絡をしてきた店長もあり、店長の姿勢も重要だと感じました。)

自身がうけた新人時代の振り返りシートを、改めて見直しながら指導してくれている2年目シスター。 「シスターの〇〇さんがいる日といない日ではモチベーションが違う。〇〇さんがいる日は、結果を残したい! 今日も頑張ろうと強く思う」と話す新入社員がいました。
この店舗は、昨年も1つ上の先輩が新入社員を育成していた店舗で、 店舗全体のバランスを見ながら新人とシスターを見守る店長のもと、2年目シスターを教えてきた3年目、 そしてその先輩達・・・と、教え方や育成ポイントが脈々と受け継がれているのを感じました。

WITHコロナでも客数が戻ってきた忙しい現場で、時間がかかり負担も多い新入社員育成は、 シスターはもちろん、シスターにフィードバックをする本社側の労力も含め手間がかかりますが、 配属直後の手間暇かけたケアがあるからこそ、 翌年にもつながっていることを改めて認識しています。

新入社員が戦力になるまでもう少し。
新人育成をしながら、来年以降に繋がる育成DNAを受け継いでいくという気持ちで、 シスターのメンバーには引き続きケアをお願いしつつ、本社の我々も2段階方式のフィードバックをしながら、 新入社員の育成を見守っていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

来週は「変わる時代、変わる店」をお届けします。
どうぞお楽しみに!

ワンスアラウンド株式会社
シニアディレクター

キャリアコンサルタント(国家資格)  岡田 聖子

ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
お客様によるご登録や名刺交換など、弊社と何らかのご縁をいただいたお客様にお届けしております。



バックナンバーはこちらからお読みいただけます。