ワンスアラウンドの『現場マガジン』 2022年7月6日号

皆様、こんにちは。
ワンスアラウンドで新卒採用を担当している岡田聖子です。
今週は、『人を育てる』シリーズの第25弾。
今回はデジタルネイティブのZ世代が、就活したいと思う企業をどう選択しているのかのリアルを、 実際の学生の声を紹介しながらお伝えしたいと思います。

人を育てる法則 【vol.025】


就活生はHPの文章や写真から企業を判断している
〜23卒採用振り返りより〜
6月1日より24卒対象のインターンエントリー受付が開始されました。
とはいえ、企業情報は既に2022年4月から公開されており、 実質23卒採用と並行して24卒採用活動がスタートしていた状況の為、 解禁日の6月1日時点の大手ナビサイトのサマーインターンの掲載社数と登録者数は、 企業の採用意欲回復もあって、前年を上回っています。

マイナビ調査によると、23卒学生のインターンシップ・ワンデー仕事体験に応募した学生は 10月時点で91.2%で、平均応募社数は7.0社。サマーインターンシップは、 ほとんどの学生にとって当たり前の就職活動になってきています。

25卒からは「インターン学生情報を採用活動に活用可能にする」との経団連と大学でつくる 産学協議会からの要望を受け、政府が近く就活ルールを改定する方針の為、 ますますインターンの重要性は高まっていくと思われます。

しかし、23卒採用活動真っただ中の3月のタイミングで、翌年の24卒インターンの準備をしながら、 更に22卒で入社してくる新入社員の迎え入れ準備をする・・・という、 3年分の学生を同時期に対応しなければならない各企業の人事の負担は相当なものになります。
限られた人員資源の中で効率化できるものはないか、各社工夫をしているのではないでしょうか。 もちろん弊社も例外ではありません。

3月30日に配信したメルマガでは、ザイオンス効果を狙い、面接以外での個別面談を実施したり、 こまめにメールや電話をする機会を増やしたことをお伝えしましたが、 密なコミュニケーションは内定後にも継続して実施しており、 どんなに短いメッセージでも学生から来た返信には必ず返事をするようにした結果、 今年の内定受諾率は昨年に比べて25%もUPしました。
しかし、個々の学生とのコミュニケーションにかける時間は、何かを削らないと捻出できません。 そこで、24卒採用効率化に向けて目を付けたのが、対面説明会参加を促す「採用動画」の見直しです。


<説明会はオンライン希望が半数も応募率は対面の半分>
大学の授業の9割はオンラインを利用しており、 会社説明会もオンラインが良いと答える学生が53.2%と半数以上で、 選考以外はオンラインが好ましいと思われているという調査があります。

しかし、学生の好みとは裏腹に弊社の説明会参加から選考につながる率を見てみると、 対面説明会では参加者の75%の学生が選考を希望するのに対し、オンラインでは37.5%と半減します。
また、オンライン経由で選考を希望したとしても、面接の途中で離脱する率が非常に高いのです。
手軽に参加できるのはオンラインの魅力ですが、選考希望人数を上げるには限界があります。 さらに言えば、より自社にマッチした人材を採用することが最終目的なので、 説明会の参加人数だけを増やしても意味がありません。 企業の魅力を感じてもらい、「この会社に就職したい」と思ってもらえるには、 社員の雰囲気やちょっとしたコミュニケーションが図れる対面説明会の方に軍配があがります

そこで、24卒は「対面説明会に参加してもらうため」の販促ツールとして 「採用動画」を製作することにしました。
学生はいったい何を基準に「対面」でも参加してみたい!と思うのでしょうか? これは当事者に聞いてみるのが一番!と、23卒の内定者有志複数名に参加してもらい 意見を聞かせてもらうことにしました。

<パーソナルなスカウト文でないと響かない>
弊社の23卒内定者のほとんどは、ダイレクトスカウトで声掛けをした学生です。
彼らはまず「型どおりのスカウト文章でないか」「自分のパーソナル部分を見てくれているか」を 最初の判断基準にしています。
確かに、「あなたの〇〇という行動が〜〜という理由で良いと思うのでスカウトします。」など、 個々に合う文章コメントを入れてスカウトした学生はエントリー率も高く、 面接時の志望動機で「スカウトでも〇〇の部分を褒めてもらったので・・・・」と 発言する学生が何人もいました。テキストや絵文字でコミュニケーションを取る日常で、 1対1にカスタマイズされたオンラインサービスに慣れているためか、 彼らは定型文でのスカウトには反応せず、パーソナルに対応している文面かどうかを瞬時に見抜きます。
次にスカウト後のやり取りの中で見ているのは、 「人事の対応が感じが良いか(良い人か)」 「威圧的でないか」という事のようです。 企業の窓口である人事が「硬すぎず」そして「しっかりしている企業か」を文面から感じとり、 判断しているとのこと・・・。
1つ1つのメッセージにも企業は気が抜けません。

<対面で欲しい情報は、HPや文章ではわからないもの>
その後、会社のHPをチェックして事業内容を確認しつつ、 またそこでもHPの表現や写真から感じる「雰囲気」を確認し、 説明会に参加すべき企業かどうか判断していきます。
HPやメールの1つ1つの文章が、彼らの琴線に触れているかどうか、 外していないかがとても大事になっているようです。
その後、説明会に参加した際も人事が「説明を棒読み」していたり、 「面白くなさそう」にしていたら、就活対象外企業となります。

<企業判断に必要な動画の尺は約10分>
さて、そんな彼らが「対面説明会に参加するかどうかの決め手になる動画」をつくるなら、 どれくらいの長さが適当かと聞いたところ、5分〜10分程度という意見が大半でした。 「興味ある企業なら10分くらい問題ない」「2桁になると心理的ハードルが高くなるので9分以内が良い」 など様々な意見が出ましたが、最終的には「間をとって7分はどうか?」という、 何とも平和主義なZ世代らしい結論になりました。

採用人事として問われる企画力とは?

私の想像以上に、学生はHPやSNSから入手できる情報により企業を寄り分けており、 情報公開する企業側もそれを理解した上でHPや採用動画を製作しなければいけない時代になりました。
「インスタ映え」を意識しながら、自らも写真や文章をSNSに投稿する世代だからこそ、 写真や動画の製作者の意図を見抜けるのかもしれません。コロナ禍により大学入学直後からオンライン授業になり、 受講者(=消費者)として動画に対する要求基準が高くなっている背景もあるでしょう。

「対面説明会に足を運ぶ価値がありそう」「話を直接聞いてみたい」と 思ってもらえるような動画製作も必要になってきた昨今の採用市場。
採用動画にも一定レベル以上を求める手ごわい相手にエントリーしてもらうために、 採用人事は「動画製作」の企画力も試される時代になりました。

動画企画のために積極的に協力してくれた弊社内定者の学生たちに、 同期入社のメンバーと話が出来る場を提供する目的もありましたが、 デジタルネイティブの彼らに参加してもらったことで、私も新たな視点を勉強させてもらいました。
また1つ新たに「採用動画企画」の仕事が増え、やれやれ(汗)ではありますが、 これからもどんどん若い世代の意見を聞きながら、採用方法を進化させていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

来週は「変わる時代、変わる店」をお届けします。
どうぞお楽しみに!

ワンスアラウンド株式会社
シニアディレクター

キャリアコンサルタント(国家資格)  岡田 聖子

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